研究センター長挨拶
環境問題は人類共通の課題です。
不可能を可能にする研究を
進めてまいります。
京都大学大学院 工学研究科 石油化学専攻 修士課程修了。
旭化成株式会社名誉フェロー、産業技術総合研所フェロー、技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)理事長、名城大学終身教授・特別栄誉教授、九州大学栄誉教授。
リチウムイオン二次電池の先駆的な研究と、その傑出した技術開発成果が評価され、2019年ノーベル化学賞受賞。
2020年に政府は「革新的環境イノベーション戦略」という地球環境問題の解決に向けた基本方針を打ち出しました。この戦略では世界のカーボンニュートラル、更には過去のストックベースでのCO2削減(ビヨンドゼロ)を可能とする革新的技術を2050年までに確立することを目指しています。
この度産総研が設立したゼロエミッション国際共同研究センターは、この国の基本方針を実現するためのイノベーションを創造していくという重要な責務を負っています。地球環境問題はこれまで人類が直面した多くの課題の中でも相当な難敵です。恐らく一つの技術だけで解決するのは不可能でしょう。種々の技術が融合することによって、これまで不可能であったことを可能にしていくという道筋をたどっていくことになるでしょう。
地球環境問題が議論される一方で、AI, IoT, 5Gといった新技術による第4次産業革命とも言うべきイノベーションも起こりつつあります。これにより従来不可能であったことがいとも簡単に可能になっていきます。これらの新技術は間違いなく地球環境問題と連動し、その解決に強力な武器になっていくでしょう。
これまで産総研では将来のゼロエミッションにつながる多くの研究を進めてきております。まずはこれらの研究テーマを当センターに集約し、相乗的に研究成果に結びつけていきたいと考えております。そのために、国内他機関、海外機関とも連携し、種々の技術の融合を図っていきます。
真のSustainable社会を実現するには組織の枠、国の枠を越えた協力体制が必要です。当センターが中核となって地球環境問題という人類共通の課題を解決していくために英知を集めていきたいと思います。
2020年3月