人工光合成研究チーム
太陽光を化学エネルギーに変換する人工光合成技術について、技術の普及を図るために、経済合理性の高い製造方法を研究しています。

研究テーマ
- 鉄イオンなどのレドックス媒体を用いた光触媒反応と電気分解を組み合わせた光触媒-電解ハイブリッドシステムによる安価な水素製造技術の開発
- 半導体光電極および電極触媒技術を用いた、水素・高付加価値の有用化学品製造技術の開発

研究チーム長紹介/挨拶
佐山 和弘
学生時代から数えると30年あまり光触媒や人工光合成の研究に取り組んできています。一つの分野に打ち込める環境に身を置けたことは研究者として非常に幸運でした。GZRでは触媒の材料をロボット技術で探索するシステムを導入しました。慣れ親しんだ分野ですが新しい研究手法を積極的に取り入れていきたいと考えています。
メンバー紹介
研究の背景
・CO2フリーな持続可能社会を実現するため、再生可能エネルギーの中で最も膨大な太陽光エネルギーの革新利用技術として人工光合成の研究を行っています。
・人工光合成とは、植物のメカニズムを模倣し、太陽エネルギーを化学エネルギー(水素や有機物、高付加価値の有用化学品など)に変換する技術です。
・シンプルに調製できる粉末光触媒や光電極を用いて、高効率で経済性のある人工光合成システムの実用化を目指します。
研究内容・成果1:光触媒による水の水素と酸素への分解
・粉末半導体光触媒(酸化物や非酸化物)を用いて水を水素と酸素に効率良く分解する研究をしています。
・理論化学や計算化学を利用して、材料開発を加速します。
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2021/pr20211207_2/pr20211207_2.html

研究内容・成果2:光触媒-電解ハイブリッドシステムによる安価な水素製造
・産総研オリジナルの「光触媒-電解ハイブリッドシステム」は、光触媒と電解の両方の長所があり、経済性のある水素製造が実現できる可能性を持ちます。
・大面積の光触媒プールで、太陽光により鉄イオンを還元し、次に非常に低電圧の電解装置で、その鉄イオンを再酸化しながら水を還元して安価な純水素を製造できます。
https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20200307.html
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2010/pr20100311/pr20100311.html

研究内容・成果3:光電極による水素と有用化学品の同時製造
・酸素や水素の数十~数千倍の価値がある化学品(過酸化水素、過硫酸、次亜塩素酸等)の製造により、経済性を向上できます。これらは、殺菌、消毒、漂白、洗浄、有機合成などに広く利用できます。
・従来の化学品製造プロセスでは、膨大なCO2を排出しており、CO2フリーで製造するインパクトは大きいと言えます。
・産総研では様々な反応について、その選択性をほぼ100%にする技術を開発しています。
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2020/pr20201009/pr20201009.html
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2018/pr20180802/pr20180802.html
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20150306/pr20150306.html
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20120312/pr20120312.html

今後の予定
・ 人工光合成と天然光合成の融合による、経済合理性とCO2削減効果のあるシステムの提案をします。
・半導体や触媒材料探索の高速自動スクリーニング方法の開発。研究DXとしてビッグデータの機械学習活用などを行います。
関連動画
研究
ハイライト
